オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


婚約披露パーティーの直後から届くようになった差出人不明の封書。

だが、御影の力をもってすれば、差出人など容易く調べる事は出来る。

不定期で送られてくるその封書に写真が入っている事も承知していた。

事前に郵便物をX線検査するように指示を出していたから。

そんな事をしているとは、希和は知らないだろう。


封書の差出人は八雲綾女(やぐもあやめ)。

御影百貨店に出店している老舗酒造メーカーの一人娘。

大学を卒業し、半年ほどオーストラリアに留学していたが、

現地で知り合った男と恋愛関係に発展。

その後、男の浮気が発覚した事で留学を切り上げ、帰国。

どこの馬の骨とも知らぬ男に娘を嫁がせたくない両親は、

娘に次々と見合いを持ち掛けるようになったという。


御影が密かに間者を送り込み調べた資料によると、

留学先でも毎日のように豪遊していたようで、

資産家の娘だと自ら鼻にかけていたらしい。

財産を狙った男どもが次々と群がり、

言葉巧みに近寄っていたと言う訳だ。

そんな最低な男どもの言葉に騙された女。

チヤホヤされ、自分がモテていると勘違い。

男も男だが、女も女だ。


俺は定期的に送られてくる報告書をチェックして。


すると、その女と俺の大事な希和に共通点がある事が判明。

まぁ、共通点というには言葉が過ぎるかもしれないが、決して見逃せない事実。


俺達が婚約する2か月前の9月に

八雲綾女とお見合いで知り合った男、峰菱悠人(みねびしゆうと)。

防衛大を卒業後、航空自衛官(空曹長)に任命され、

幹部候補生として訓練を受け、1年後、幹部自衛官(3等空尉)に。

その後、訓練を経て、現在、F-15戦闘機運用部隊へ配属と記されている。


希和と防衛大時代に苦楽を共にした仲間という事実。

報告書に添付された写真には、笑顔で希和の肩を抱き寄せる男が……。


待て、コイツどこかで見たような……。

俺は写真の男を凝視、おぼろげな記憶を辿った。

< 305 / 456 >

この作品をシェア

pagetop