オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
元々女性と知り合う機会が少ない峰菱悠人にとっても
八雲綾女との出会いは、運命のようなものだったのかもしれない。
二人が恋に落ちるのにも時間はかからなかった。
海外での任務も多い男と、一年中暇を持て余す女との想いは釣り合わず、
八雲綾女の想いは益々募っていった。
そんな彼女の為にマンションを借りた峰菱悠人であったが、
彼が海外派遣で不在の際、彼の部屋で見つけたらしい。
……防衛大時代のアルバムを。
しかも、サークル活動で信頼関係を深める為に
昔から交わされていたサークル日記なる物も一緒に。
そこに、不安や悩みについて書かれた希和の日記もあったらしい。
勿論、希和だけではない。
サークルに参加している全ての人間が書く物なのだが、
八雲綾女の目には女性である希和の名が、
“何かしらの関係性がある女性”
あたかも恋人であるかのようにしか思えなかったようだ。
一方的な思い込みと勘違いのオンパレードなのだが、
華よ蝶よと箱入り娘として育った彼女にとって、
周りの意見を聞く事など、皆無であったのだろう。
一方的な思い込みは益々度を増し、
長期的な任務で不在の際には“海外に女性を匿っている”と決めつけ、
赴任先まで尾行しているという。
聞いただけでもゾッとするのに、
そこまで執着している彼女が、希和の事を放っておく筈がない。
きっと、空港で希和を抱き締めた事も勿論知っている筈だ。
そして、婚約披露パーティーの時のあの眼つき。
今思い返しても嫌な気分にしかならない。
何があろうと、希和だけは守らないと………。