オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
御影の車で空港へと向かう車内。
挙式前の最後の公式行事とあって、
いつも以上に不安にならずにはいられない。
だって、昨日届いた封書には……。
大学時代の私ではなく、
11月に行われた私達の婚約披露パーティーの時の写真が入っていた。
私は数週間前から警備会社の石島先輩に密かに相談している。
どうしても一人で解決出来そうにないから。
先輩もやはり、怨みの線が濃いと言っていた。
先輩は犯罪心理やサイバー犯罪専門にも詳しい。
顧客管理をしつつ、極秘任務も任されているという噂も絶たない人。
そんな先輩なら、きっといいアドバイスをくれると思った。
先輩曰く、京夜様が心的ダメージを受けていない(行動に移されてない)為、
別の手段に踏み切った可能性があると言っていた。
実際、私もそう思う。
だって、昨日届いた封書は彼宛ではなく、私宛だったから。
標的が私に変わったのならそれでいい。
不安に駆られながらも、心の中では安堵する自分がいた。
車内では、私の手をずっと撫でてくれる彼。
多分、私が公式の場に出る事に緊張していると思っている。
でも、それならそれでいい。
変に身構えられてしまったら、護衛しづらい。
私はあくまでもいつもと変わらぬ私を装っていないといけないんだから。
膝の上でぎゅっと握りしめた手が、不安で無意識に震え出した。
大丈夫、こんな時の為に頑張って稽古して来たんじゃない。
私は必死に自分に言い聞かせていた。