オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
11 南国の香り

京夜side



頼む、目を開けてくれ。

君にまだ伝えてないことがあるんだ。

一緒にやりたいことだって山ほどあるのに……。


俺はいつだって後悔してる。

後になって気付いたって遅いのに。


御影専用の大型ヘリで病院へ搬送中の機内。

希和の腹部からは、とめどなく血が……。


ドクターヘリの到着を待つより、専用ヘリで搬送した方がいいと判断し、現在に至る。

空港内の病院から医師と看護師が1名ずつ搭乗しているが、

その表情がとても険しく、一刻の猶予もないことが窺える。



5分ほどで病院の屋上に到着し、すぐさまエレベーターで3階手術室へ。


「希和………」


手術室の入り口で、ストレッチャーが停止した。

俺はそっと彼女の頬に触れたが、ピクリとも動かない。

数分前までは俺に笑顔を見せてくれていたのに……。


「お願いします」


物々しい雰囲気で、彼女は手術室へと姿を消した。


悔しさと遣る瀬なさで怒りが込み上げてくる。

俺は一体何をしてたんだ。

いつだって犠牲になるのは彼女じゃないか。

握る拳がわなわなと震え出す。

クソッ!

何故、彼女がこんな目に……。

あれほど、厳重に警戒してたのに。



手術室の前で必死に祈る。

どうか、………どうか、無事でいてくれ………。

彼女が助かるなら、何だってするから。

だから、俺の元に―――――。


「京夜っ!」


どれほどの時間が経ったのかすら分からない。

無我夢中で祈り続けていると、母親と彼女の母親が吉沢と共に駆け寄って来た。


「申し訳ありませんっ!本当に………申し訳っ、ありません」


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