オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


「初めまして、御影京夜と申します」


本当はすぐにでも本題に入りたい。

だが、一応これでも御影を背負う立場ゆえ、最低限のマナーは弁える。

そんな俺を真っすぐ見据え、きびきびとした足取りで俺の目の前にやって来た。


「自分は、航空自衛隊 第5航空団 、第305飛行隊 2等空佐 峯菱悠人です」


ビシッと踵を揃え、俺に対し敬礼。

絵になるような所作だが、真っすぐと向けてくる視線が挑戦的だ。

しかも、俺が手を差し出しているのに無視しやがった、こいつ。


俺が何故ここにいるのか、こいつは知らないだろう。

上層部の人間を裏で動かし、自分に何か指示を出すのだろうと思っているはずだ。

きっと上司から『とあるお方が君に用があるそうだ』とでも言われたのであろう。

早朝から呼び出され、何事か?とでもいった表情だ。

更に、そこにいたのは政府関係者でもなければ、軍のお偉いさんでもない。


俺の顔を見てハッとしたところを見ると、俺のことを知っているとみた。

俺は手を収め、腰を下ろす。


「君も座ったらどうだ?立ったまま、話すような内容じゃない」


俺はトーンを落とし、威圧感を全面的に出す。

すると、彼は敬礼している手を静かに下ろし、軽く会釈し腰を下ろした。


「俺のことは……?」

「………存じてます」

「ならば、話が早い」


俺は吉沢に視線を送ると、吉沢はテーブルの上に封筒を置いた。


「中を確認しても宜しいでしょうか?」


俺が小さく頷くと、峯菱は真剣な表情で中を確認し始めた。

すると、すぐさま驚愕の表情を浮かべ、更にはみるみるうちに顔色が青ざめていった。


ゆっくりと顔を持ち上げた峯菱は、真剣な表情で口を開いた。


「彼女は………、希和は無事なんですよね?」


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