オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「既に警察が動いている」
「っ…………」
「ご存知と存じますが、刑法第61条の規定により、殺人未遂罪の教唆犯という事になります」
―――――八雲綾女が。
教唆犯とはいえ、正犯と同じ刑が処される。
防衛大を出ているのだから、そこそこ頭がキレるはずだ。
警察が女の行方を追っているが、未だ逮捕に至っていない。
恐らく、どこかに隠れているのだろう。
もしかしたら、こいつが知っているかもしれないしな。
「自分が、……………彼女を説得してみます」
「みます?」
峯菱の言葉に、俺の方眉がピクリと反応した。
「ッ?!………すみません、必ず、説得します!」
出来るかどうかだなんて聞いてない。
こいつを想うあまりに希和を襲ったんだ。
いや、狙われていたのは俺だったはずだ。
俺の身代わりに彼女が大怪我を負ったのだから、
生半可な処理は到底許さん。
この国の法律で許されるのなら、
この手で、今すぐ息の根を止めたいくらいだ。
俺はジャケットの内ポケットから!名刺を取り出した。
「女の居場所が分かったら、連絡をよこせ」
「……………はい」
「分かっているだろうが、希和が入院していることは勿論のこと、俺がここに来たことも他言無用だ」
俺は吐き捨てるようにして腰を上げた。
すると、
「あのっ、…………希和は、どこの病院に入院しているんですか?」
ッ?!
こいつ、また呼び捨てにしやがった。
この俺様に向かって………。
1億歩譲って聞き流したとしても、こいつにだけは死んでも教えて堪るか!
「人の婚約者を呼び捨てにするのは、今のが最後だ」
俺は視線を合わせる事すらせず、その場を後にした。