オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


「吉沢」

「はい」

「一か所、寄りたいところがあるんだが」

「はい、何なりとお申し付け下さい」


俺らは峯菱悠人が在籍している宮崎県新田原基地を訪れていた。

峯菱の勤務が夜勤という事もあり、勤務終わりの早朝に合わせてやった。


俺自ら来る必要は無かったのだが、この目で奴を見ておきたかったというのが本心。

俺の知らない彼女を知っている奴を……。



待機させてある専用機へと向かう中、俺は彼女の母親に連絡を入れた。

けれど、彼女はまだ目を覚ましていないらしい。


希和。

もうそろそろ、目を覚ましたらどうだ?

俺の愛情を確かめたいなら、もっと別の方法があるだろ。


携帯に保存してある彼女の写真に指先を滑らせた。


「京夜様、先方にアポイントを取り付けました」

「すまない」

「とんでもありません。近場に車を手配しましたので、そちらで……」

「ん」


母親傍付の執事・吉沢。

俺が生まれる前から今の職に就いている。

その仕事ぶりは迅速かつ丁寧で、両親の信頼も厚い。

御影にはなくてはならない存在だ。



専用機から車に乗り換え、俺らはとある場所へと。

向かった先は、広大な敷地に巨大なハウスが幾つもある場所。

初夏の太陽をたっぷりと吸収し、優雅に育つアレを求めて……。


だって、彼女の好物だから。

普段はオレンジやリンゴを好んで食べているから、てっきり好物なのかと思ったら、

オレンジやリンゴは一年中手に入り、手頃だからと。

金の心配は要らないと言っているのに、彼女は笑顔で誤魔化すばかり。

ある時、何が一番好きなのかと尋ねたら………

彼女は物凄く瞳を輝かせながら、口にした。


『太陽のタマゴ』と。


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