オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
マンゴーカラーの容器に入った美容液。
スポイトタイプのそれは、適量を手に取り肌に馴染ませると表示されている。
保湿は勿論のこと、美白や集中補修効果もあるらしい。
俺はそれを数滴手に取り、指先で優しく彼女の手に馴染ませた。
手に取った時はとろみがある感じなのに、
希和の肌に乗せると、スーッと浸透していく。
まるで、ゴクゴク飲み込んでいるみたいに。
べたつかず爽やかな香りで、しかも、明らかにワントーン明るくなった。
「凄いな、これ」
ネーミングセンスはいまいちだが、機能性は十分だな。
エッセンスだが、全身に使えると表示されている為、
俺は躊躇わず手のひらにたっぷりと取った。
これで、肌の乾燥が少しはマシになるといいんだが……。
俺は少しずつ指先に付け、希和の顔に馴染ませた。
そして最後は、俺の手のひらで包み込むようにハンドプレスした、その時。
「ッ!?」
希和の眉間がピクッと動いた。
「希和、…………希和、俺が分かるか?」
恐る恐る声を掛けてみるものの、反応はない。
やはり、俺の見間違いなのだろうか?
フゥ~と大きな溜息を一つ吐いた俺は、再び彼女の頬に触れた、次の瞬間。
彼女の顔が僅かに動いた。
「希和?!…………希和、俺の声が聞こえるか?」
俺はそっと優しく彼女の頬を叩くように触れると、
さっきよりもハッキリと反応を示した。
眉間にしわを寄せ、今にも瞼が開きそうだ。
逸る気持ちをグッと堪え、彼女の手をそっと握る。
ゆっくりでいい。
俺はここにいるから。
静かに様子を見守ってみるものの、やはり反応がないと諦めかけた時だった。
俺の手の中で、彼女の手がピクピクッと動いた。