オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


「痛みは如何ですか?」

「……大丈夫です」

「辛いかもしれませんが、傷の回復の為にも少しずつ体を動かして下さいね。その方が、回復が早いですから」

「はい」

「歩けるようでしたら、カテーテルは外せますからね」

「はいっ」


良かった、深刻な状態じゃなくて。

体が重く動かないから不安だったけど、心配いらないらしい。

頑張って元の体に戻さないと。


傷口がある程度塞がったら、退院出来るという。

医師の言葉に母も安堵し、思わず目を見合わせた。








入院から10日目。

朝食を終えた私は、退院検査の為、超音波検査室を訪れていた。


カーテンで仕切られたベッドの上で、エコー画像をじっと見つめていると。


「うん、内出血も見られないですし、大丈夫そうですね」

「本当ですか?!」

「えぇ。でも早く回復したいからといって、激しい運動は暫く控えて下さいね。それと、生理痛のような痛みではなく、鋭い痛みがある時は必ず、受診して下さいね。……いいですね?」


担当医の女医は、サバサバとした口調で話す。

私の体がアスリート体形だと知られている為、苦笑しか出来ない。

でも、漸くホッとした。


「退院は明日にしますか?」

「あの、今日でも大丈夫なのであれば、今日退院したいのですが……」

「構いませんよ。あ、でも、昼食の分は既に手配されてると思うので、午後であればいつでも」

「本当ですか?」

「えぇ。では、担当の看護師に話しておきますね」

「ありがとうございます!」



かくして、入院から10日目で無事退院となった。

まだ傷口は少し痛むし、体は全快とは言えないけど、贅沢は言わない。

だって、大好きな人と………ずっと一緒にいられるんだもん。

これ以上の贅沢だなんて、この世に存在しないから。


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