オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
御影の車でマンションの地下駐車場に到着した。
母親が、暫く実家にいた方がいいと勧めたけど、
これ以上、京夜様に肩身の狭い想いをさせたくなかった。
だって病室にいる間、ずっと切なさが滲む瞳をしてたから。
いつもは自信に満ち溢れた瞳をしていて、歩く姿も凛々しいのに。
そんな彼を入院している間、一度も見ることが出来なかった。
私の両親を気遣ってくれているのは十分理解出来るんだけど、
でも、そんな彼は見たくなかった。
罪悪感に苛まれることなく、いつでも堂々としていて欲しいから。
「降りれるか?」
「はい」
運転手がドアを静かに開けると、スッと手を差し伸べてくれた彼。
心配そうに私を見つめている。
そんなにも過保護にして貰わなくても大丈夫なのに。
傷口を強打しない限り、何の問題もないのに。
壊れ物を扱うみたいに大事にしてくれる。
でもそれが、堪らなく嬉しくて。
ついつい彼の優しさに甘えてしまう。
だって、こんな貴重な時間、そうそう無いと思うから。
痛い想いをしたし、消えない傷を負ったのだから、少しくらいいいよね?
私はか弱そうに装って、彼に寄り添った。
10日ぶりに帰宅したマンション。
ほんの少し部屋が散らかっているのは、仕方ない。
私がお世話を怠ったのだから。
でも、それがまた嬉しくて。
だって、それは、私以外の誰かがこの部屋に入ってない証だもの。
帰宅早々、キッチンのシンクに溜まった食器を片付けようとすると。
「ストォ――――――ップ!!」
即座に止めが入った。
普段は怒鳴ったりしないから、驚いて振り返ると。