オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


京夜様が作って下さった抹茶ラテには、

チューリップみたいな花が施され、その花の部分がハート型になっている。


私はすかさず携帯のカメラで何枚も撮った。


「冷めるぞ」

「今戴きますっ」


う~ん、でも、飲むのが勿体ない。

おねだりしたら、また作ってくれるかしら?


カップを両手でゆっくりと持ち上げ、上目遣いで彼を見据える。


「何だ、その目」


明らかに芝居じみた私の視線が、やはり気になるらしい。


「また、作ってくれます?」

「抹茶ラテをか?」

「抹茶に限らず、…………可愛いラテアートを」

「フフッ、飲みたいと言えば、いつでも淹れてやる」

「ホントですか?」

「同じ事を二度も言わせるな」


彼は照れ臭そうに視線を逸らした。

でも、甘えてみるものね。

今日の京夜様は格別に優しい。

退院祝いだと言えば、それまでだけど。

でも他の誰でもない、私にしてくれているという事が何より嬉しいから。


結婚式も新婚旅行もダメになっちゃったけど、私には十分すぎる。


彼が淹れてくれた抹茶ラテは濃厚で、

ほろ苦さの中にもしっかりと甘さがあり、

それがまるで、私と京夜様の関係みたいで。

思わず、ほっこりと出来るそんな味がした。







ブライダル休暇は2週間。

私が入院していた日数を差し引くと、残り4日。


私は小旅行みたいな感じで近場に出掛けることを提案したけど、即座に却下された。

まだ完治していないのが、理由だ。

湯船に浸かれなくても、シャワーは浴びれるのに……。


心配性の京夜様には逆らえず。

結局、自宅でゆっくり静養することになった。


そんな彼は………。


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