オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「何故だ」
「えぇーっと、だからですね、その………」
再び物凄い威圧感のある視線が突き刺さる。
事の発端は、婚姻届けをいつにするかということなんだけど。
京夜様は『この休暇中に出そう』と言い出した。
だけど、私は………結婚式を挙げてからにしたい。
それは、日取りを決める時に約束したことの1つ。
仕事が忙しくて、手続きを後回しにしたという事もあるけど、
何より、結婚証明書に署名する名前に嘘を吐きたくないというのが1番の理由。
やっぱり、純真無垢な状態で挙式を挙げたいから。
挙式後の入籍という運びに賛同したはずの彼。
なのに、いきなり『明日、区役所に行こう』と言い出したものだから。
何故、急に焦るようなことをするのか、分からない。
本質的なことは私も同じ考えなんだけど。
………一日も早く、結婚したいってことは。
でも、こればかりは譲れない。
私の夢だから。
結婚の詳細に関しての願望は殆どない。
ドレスや装飾品、ブーケや挙式スタイルに至るまで
全て京夜様の意見を尊重した。
私が望んだのは、挙式を挙げる場所と入籍の日取りだけ。
それなのに…………。
「京夜様が何て言おうと、こればかりは譲れません」
「俺が、頼むと頭を下げてもか?」
「えっ?!」
彼は懇願するようにゆっくりと頭を下げた。
「ちょっと、止めて下さいっ!そんな事されては困ります」
「じゃあ、明日、入籍するんでいいよな?」
「ッ………………、ごめんなさい」
「何だよっ、……………ったく。分かった、もういい」
「ッ?!………私の事、嫌いになったりしませんよね?」
「なるかっ、こんな事くらいで」
「良かったぁ」
一瞬険悪なムードが漂ったけど、私の粘り勝ちらしい。
京夜様はソファーに腰かけ、腕組みをしながら天井を見上げた。