オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
手首をガシッと掴まれ、向かった先は……。
「えっ、何ですか?!………ここ」
「見ての通りだ」
「いやいやいやいや、聞いてませんよっ!こんな所があっただなんて……」
「フッ、当たり前だろ。話したことはないからな」
「ええええええぇぇぇぇぇ~~~っ!!」
発狂したくもなる。
だって、目の前には、ショッピングモールや駅構内でよく見るような飲食街が!
都内屈指の高級タワーマンションの4階フロア―には、有名どころの店舗が軒を連ねていた。
しかも、3階はクリニック専門エリア、2階は食品、日用品、雑貨を扱うショップがあるという。
いつも地下駐車場から直接最上階へと移動している為、
そんな店舗が入っているだなんて知らなかった。
ツーリングや散歩の帰りにコンビニやドラッグストアーに寄ることはあっても、
まさかまさか、マンション内にこんなところがあるとは………。
「灯台下暗しですね」
唖然とする私に、彼は更に爆弾を投下した。
「で、どこにする?」
「へ?」
腕組みしながら顎で店舗を指した。
寿司屋、とんかつ屋、天婦羅屋、ラーメン屋、蕎麦屋。
フランス料理、イタリア料理、中華料理……。
勿論、和食処まであるのだから、選びようがない。
億ションとも言えるこのマンション内に店舗を構えるのだから、それ相応の味と値段に違いない。
私は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
すると、彼は私の顔を覗き込んで。
「決めないなら、俺が決めるぞ」
「あっ、はい!どうぞどうぞ~」
待ちきれないのか、彼は踵を返して歩き出した。
向かった先は………。
えっ?!
そこですか!?
私は思わず自分の目を疑った。
だって、彼が立ち止まったのは………。