オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
今回の怪我は表沙汰に出来ないものだけに、
きっと状況を察したのだろう。
そっと掛けられたその言葉が、胸に響いた。
確かに我慢したことも多い。
だけど、逃げ出したいと思ったことよりも
もっと沢山の新しいことに挑戦したいと思った結果だ。
だから、これまでの人生に悔いは無い。
いい歳して乙女な自分がいる一方、
やっぱり歳相応の女の顔があるのも確かで。
24時間ずっと傍にいるのに、
ラブラブでイチャイチャな時間が極端に少ないのは何故だろう?
入院している間、ずっと考えていた。
京夜様は優しく髪を撫でて下さったり、手を握って下さる。
だけど、それだけじゃ満足出来ない自分がいた。
ちょっと前ならドキドキして、傍にいるだけで大満足だったけど。
いつからだろう?
『もっと』と思ってしまうようになったのは。
おねだりだなんて、私の柄じゃない。
それこそ、キャンキャン言う歳でもないのだから、
イチャイチャをせがむだなんて到底出来ない。
どうしたら、もっとラブラブな関係になれるんだろうか?って。
密かに朱夏にメールで聞いてみたら、
『寝てないからじゃない?』と返って来た。
『寝てるよ。寝過ぎてるよ。病院だもん』と返信したら、爆笑された。
怪我したことも、入院してることも極秘なんだけど、
朱夏だけは大丈夫な気がして、こっそりメールしてしまった。
冷静になって考えてみて、改めて実感した。
『寝る』の意味を。
朱夏が言うには、男は抱いた女を大事にするらしい。
俺が守らないと……と思うらしい。
まぁ、中には最初から遊び目当てで関係を持つ人もいるけど、
結婚を考えているなら、尚の事、大事にしたいと考えるらしい。
だからこそ、一線を越えてるか越えてないかは大きな差。
そんなことを脳内で熟慮した結果、
私は勇気を出して、もっと彼に対して積極的になると決めた。
よし、大丈夫。
イケるよ、私。
自分を鼓舞するように勢いよく立ち上がった。