オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
俺はすぐさま室内の温度設定をいつもより3℃上げ、
彼女が少しでも快適に過ごせるように気を配る。
「直ぐ熱い珈琲でも淹れるから、座ってろ」
俺はキッチンへ向かおうとすると、
「いえ、結構です!!」
「はっ?」
「京夜様こそ、座ってて下さい」
「………何故だ」
「何故?……理由なんて、明らかじゃないですか!!」
「………」
彼女が声を荒げるのも無理はない。
リビングは勿論の事、ダイニングテーブルの上も……。
部屋中あちこちにゴミが散乱し、
仕事の書類やら飲み終わったカップやら
遣りたい放題の状態になっている。
「家政婦はどうしたのですか?風邪でお休みとか?」
「あっ、いや……」
「護衛役の方は、これを見て何とも思わないのかしら?」
「……………」
彼女はブツブツ文句を言いながら、
ダイニングテーブルの上と周りをサッと片付けた。
「とりあえず、ここはOKね。京夜様はこちらでじっとしてて下さい!」
「………ん」
瞳に熱がこもった彼女はすぐさまキッチンへ向かい、
何やらガサゴソと格闘し始めた。