オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


何も考えず、身を委ねて。

何年もの間、子供に恵まれなかったら、

養子を迎えるという選択肢もあるだろう。



なるようになるさと楽観的に生きれるほど、精神的に強くはない。

ありとあらゆる方法に挑戦して、

限りなく奇跡に近い確率に賭けるほど我慢強くもない。

世間から好奇な眼差しを向けられても、

我が子に対して、微塵も後ろめたさなく生きていく自信もない。


『親』になるならば、

どんなことがあっても、我が子を守らなければならないのに。


何度考えても、乗り越えられる勇気が………。



何故、私なのだろう?

何故、あの人なのだろう?

何故、なぜ、ナゼ?


考えても考えても、現実が変わらないように。

あの人を想う気持ちも変わらないのに……。


それでも、決断しなければならない。

先送りにすればするほど、あの人を苦しめてしまうから。






なるべく早くに伝えなければ……。



**********


育児休暇で休職中なのに、私を診察するために職場に顔を出したせいで、

エイミーは急に忙しくなってしまったようだ。

夜遅くまで同僚の医師からの電話を受けたり、

日中もララを母親に預けて、勤務先の大学病院に行っているようだ。


頼まれごとをされたり、困っている人に出会った時ほど

その試練や困難に立ち向かう事こそが生きるという事だと、彼女は言う。

だから、医師という職業は彼女にとって天職なんだと思う。



日中静まり返る室内に閉じ籠っていたくなくて、

景色のいい湖畔へと向かった。


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