オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
フォトフレームの裏板を外した瞬間、目に飛び込んで来た文字。
あの人らしい綺麗な字で書かれていて、
一瞬で嬉しさがこみ上げ、胸の奥がキューッと締め付けられた。
いつ書いたのだろう?
彼らしい。
それがたまらなく嬉しくて。
気付くと頬に涙が伝っていた。
本当は直接言って貰いたい。
だけど、それは限りなく難しいというか、不可能というか。
恋愛に関しては、感情を表に出さない方だから。
こんな風にストレートに言葉を綴って下さっただけで有難くて。
何故もっと早くに気付かなかったのだろう?
日本を離れる前に気付いてたら、何かが変わっていたのかな?
少なくとも、もう少し彼と話す機会があっただろうに。
やはり運命の糸は絡まった挙句、切れてしまったのかもしれない。
ううん、初めから糸なんて存在してなかったのかも。
あると信じたかっただけ。
もう戻ることの出来ないところまで来てしまった私は、
自分自身が恨めしくて、情けなくて。
ポタポタと零れ落ちる涙を拭うこともせずに彼の写真を抱きしめた、その時。
「キィ~ワァ~~ッ!!」
発狂するかのような大声でエイミーが駈け込んで来た。
「キィ~ワッ?!」
エイミーが驚くのも無理はない。
キャリーケースの荷物に顔を突っ込む状態で蹲っているのだから。
グズグズに崩れた顔をどうしたらいいのか分からず、身動きが取れないだけ。
でも、私が具合が悪いのかと心配し、駆け寄ったエイミー。
そんな彼女に合図するように片手を上げ、ゆっくりと顔を上げた。
私の泣き顔を見て安堵したエイミーは、優しく抱きしめてくれた。
「キィワ、ダイジョウブ、ダイジョウブ、……ダイジョウブヨ」
エイミーは、私が落ち着くまでずっと寄り添ってくれた。