オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
京夜side
俺は敢えて仕事用のセダン車で
待ち合わせ場所の料亭『風月』へと。
約束の時間の10分前に到着したが、
既に相手は到着していた。
――――天宮凪彩 22歳
「遅くなり申し訳ありません」
俺は開口一番頭を下げた。
すると、
「いえ、私が早く着過ぎただけですので……」
俺の到着に合わせ、会釈する彼女。
何度見ても『お嬢様』の雰囲気が漂っている。
見るからに擦れてなく、古風な感じがする。
そんな彼女にあんな酷い事を言ったかと思うと……。
だが、あの時は本当に必死だったんだ。
それは今でも後悔していない。
けれど、今は違う。
俺には希和がいる。
この目の前の彼女には申し訳ないが、
これ以上、この縁談を進める訳にはいかないのだから。
俺は席に着いたと同時に、深々と頭を下げた。
「天宮さん」
「えっ、………ど、どうされました?」
俺の突然の行動に動揺する彼女。
けれど、俺は顔を上げる事無く言葉を続けた。
「本当に申し訳ありません!………この話、白紙にしては頂けないでしょうか?」
「えっ………?」