オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
彼女の言葉から、相手の男も彼女の事が好きなのだと感じ取れた。
好きだからこそ、迷惑は掛けられないと身を引く……。
俺も同じような想いだった。
『好き』だけでは、どうにもならない。
背負うものがあまりにも大きすぎて、
自分1人の我が儘で振り回す事は出来ないと判断したのだろう。
彼の気持ちが痛いほど分かるだけに、返答に困っていると……。
「私の父は、人柄を重視する人なんです」
「………」
「先日、御影さんが少し遅れていらっしゃった時、開口一番で謝罪の言葉を口にしましたよね?」
「え?あぁ、はい。でも、それは当然の事です」
「いえ、それは少し違います」
「え?」
「私達のような堅苦しい人間は、無意識に体裁のいい言い訳を口にするんです」
「………」
「あの日、帰りの車内で父がこう言ったんです。『彼は言い訳せず、目を合わせ頭を下げた。人として大事な部分をしっかりと備えている』と」
「…………そんな事をお父上が……」
「ですから、彼が父に対して、貴方以上の誠意を見せれば、きっと納得してくれると思うんです」
「それなら、私が力を貸す必要はありませんよね?」
「いえ」
「………?」
「彼が……。彼が私から目を背け、逃げる理由を探してるんです。だから、彼をその気にさせ、父を説得したいと考えています!!」
彼女の瞳に闘志が宿っている。
それほど、彼を愛しているのだろう。