オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
俺は目の前の湯のみに手を伸ばし、お茶を一口口に含んだ。
そして、彼女が静かに見守る中、心の整理を図り
―――――とある決断をする。
湯のみを静かにテーブルに置き、ゆっくりと口を開いた。
天宮凪彩との話し合いを終え、自宅へと戻った。
♪ ♫ ♬ ♪ ♫
玄関ドアの解除音が響く中、ドアを開けると。
「お帰りなさいませ~」
「…………ただいま」
希和がエプロン姿で駆け寄って来た。
俺は靴を脱ぐと、濡れ手でエプロンで拭う彼女を抱き締めた。
「きっ、……京夜……様?………何か、あったのですか?」
彼女の声から不安だという事が伝わってくる。
いや、俺の行動がそうさせているのかもしれない。
俺は腕をゆっくりと解いて、彼女を真っ直ぐ見据えた。
「ここじゃ何だから、部屋に行こうか」
「あっ……はい。では、珈琲をお淹れしますね」
「……ん」
希和の瞳は不安な色を滲ませるも、
表情は必死に平静を装っている。
健気に笑顔を振りまく彼女の後ろ姿を眺め、胸が痛んだ。