オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
俺の言葉に目を見開く希和。
そんな彼女の手にもう片方の手も重ね、
「俺は希和を諦めようとした。色んなしがらみからお前を解放してやりたくて」
「ッ?!」
「だけど、頭と心は同じにはいかない。それを悟ったんだ」
彼女の手に重ねた手を髪に伸ばせば、
嬉しそうにはにかむ彼女。
そっと髪を撫で、頬に優しく指先を滑らせる。
「俺らがこうして倖せを噛みしめるのと同じように、彼女にも、彼女が想いを寄せている彼にも……同じ想いをして欲しいと思うんだ」
「………そうですね」
「だが、問題が1つある」
「え?」
「俺がこの縁談を断ってしまえば、彼女には新たな縁談の相手が現れるだろう」
「………」
「だから、彼女と彼が上手く行くまで………俺が形だけの……………」
「…………き、京夜……様?」
彼女に悲しい顔をさせたくないのに、
彼女に辛い言葉を聞かせなければならない。
それがどれ程はがゆくて、
どれほど心が痛むのか………。
心の整理を図ったつもりだが、
やはり、本人を目の前にして言い出し難い。
俺は弱い自分に溜息を吐きながら彼女を抱き締めた。
すると―――――。