オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
金曜日の晩に、希和が俺のマンションに来た事。
そして、お互いの想いを確かめ合った事。
勿論、彼女にプロポーズした事も全て話した。
母親は歓喜の声を上げて、
ソファの周りをピョンピョンと駆け回る。
そんな姿を見て、思わず笑みが零れた。
母親がここまで喜ぶ姿を今まで見た事が無い。
最近じゃあ、曇った表情しか見てなかった気がして、
思わず、俺まで嬉しくなってしまった。
親孝行って、こういう事をいうのかもしれない。
「母さん、座って!話はまだ済んでない」
「あっ、そうね」
にこやかに微笑む母親は俺の隣りに腰を下ろし、
再び珈琲を口に含んだ。
カップをテーブルに置き終えるのを見届け、
俺は更なる爆弾を投下した。
「結婚は希和とするが、天宮の娘と婚約したい」
「…………え?」
母親がマネキンのように固まった。
まぁ、無理もない。
異常とも思える言葉を口にしているのだから。
だけど、俺は至極真面目に言葉を紡ぐ。
「天宮凪彩と婚約する」
「……………何、言ってるの?」
母親の色白で小さな手が俺の額へと伸びて来た。