オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
俺はその手を軽く払い除ける。
「熱は無い。俺は至極真面だ」
「真面じゃないわよッ!!どうかしてるわっ!!」
狂乱状態の母親を真っ直ぐ見つめ、
「話はまだ終わってない」
「話って、何の話よッ!もしかして、希和さんの話も京夜の妄想なの?」
「は?」
「だから、現実から逃れようと、頭がおかしくなってるんでしょ?」
母親の脳内が混乱して、あらぬ方向へ思考が向いてしまったようだ。
「落ち着いて」
「落ち着いてなんていられないわよっ」
「頼むから落ち着けよ!これには深い事情があるから」
「………へっ?」
俺の真意を探ろうと腰を下ろした母親に
俺は真剣な表情で昨日の出来事を全て打ち明けた。
全てを聞き終えた母親は黙り込む。
きっと、希和の事を考えているに違いない。
俺もそれだけが気がかりで……。
暫しの沈黙を破ったのは母親だった。
「状況は理解したわ。希和ちゃんの精神的苦痛を考えたら、かなり無謀よね」
「………だよな」
「でも、京夜が切り捨てるような人間じゃなくてホッとしたわ」