オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
母親は真剣な表情で話し始めた。
今回の縁談は、だいぶ前から持ち上がっていたらしい。
そもそも、かなり昔に御影が天宮に助けて貰った事があるらしく。
そして最近、天宮製薬は幹部役員が二手に分かれ抗争しているのだとか。
そんな事もあり、基盤を固めたいとの申し出があったそうだ。
「母さんは、三浦という名の秘書を知ってるよな?」
「えぇ、知ってるわ。今時の若者にしては珍しく、とても誠実で真面目な方よ」
「へぇ~」
「凪彩さんが三浦さんとねぇ……。何となく、分かる気がするわ」
「ん?」
「三浦さんって、凪彩さんのお父様に雰囲気がそっくりなのよ」
「え?」
「人を見る目は確かな方だから、秘書業務も安心して任せていると思うし。何より、凪彩さんとの交際を知らない筈は無いと思うんだけど……」
「へっ?」
「フフッ。大事な一人娘が想いを寄せてる相手くらい、見抜ける人よ」
「えっ、じゃあ……」
「そうね、私達は温かく見守るのが1番なのかもしれないわね」
母親は柔和な表情でベルを鳴らした。
すると、すぐさま使用人が姿を現す。
「新しいものを」
「畏まりました」
母親の表情が、俺の心をほんの少し軽くした。