オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
警備管理部のドアを開けた私は、
迷う事無く先輩のもとへと駆け寄った。
「おはようございますッ!!」
「んっ、おはよ。朝からすげぇテンションだな」
「そりゃあもうぉッ!!先輩のお陰で彼と仲直り出来ました!!」
「えっ、マジで?」
「はいっ!!」
ニカッと無邪気な笑顔を向けると、
「そっか、おめでと。良かったな」
「はいっ!!」
言葉は祝福してくれてる感じだけど、
心なしか、表情は少し寂しそうな感じがしたような……。
まっ、気のせいだよねっ!?
自分のデスクに腰を下ろし、パソコンの電源を入れると。
「松波」
「はい?」
「俺、今日は1日シュミレーション研修で地下演習場に居るから、アラームが作動したら課長に報告してくれ」
「あっ、はい。了解です!」
石島先輩は分厚いファイルを手にして、部屋を後にした。
うちの警備会社では、
昇進試験と共に研修制度が設けられており
実技・学科・素養の全てを合格しなければならない。
シュミレーション研修とは、最終段階に行われる研修で
そこで上位の成績を収めると、
昇給は勿論の事、付加手当が付く事があるのだ。