オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
今日は比較的トラブルも少なく、
早番の私は、ほぼ定時で上がれる事となった。
デスクの上を片付けていると……。
「疲れたぁ~」
「あっ、先輩!」
「おっ?松波、まだいたのか?」
「今帰ろうとしてた所です。先輩、研修終わったんですか?」
「あぁ、さっきな」
「お疲れ様ですっ!」
「おぅ」
何だかぐったりしている先輩。
相当過酷だったと見える。
帰り支度を済ませると、先輩も帰るようで……。
2人そろって、部署を後にした。
「先輩、今日の演習って何したんですか?」
「今日?えっとな、午前中は70キロのダミーを背負って、7階の階段を往復20回と……」
「えっ………?」
「午後は…………完全暗室の中から急病人の救出とか……」
私が以前受けた研修は、一般的な武術の試験と
セキュリティーアラームの修復技術くらいだった。
けれど、先輩が受けたという研修はそれよりも遥かに実践的なもの。
やはり、男性社会という事と昇進試験という事が大きな違いのようだ。
「おいっ、松波!……聞いてるのか?」
「あっ、はい、すみません。何だか、本格的で驚きました」
「………だよな」