オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
先輩も噂には聞いていたから覚悟はしていたようで、
それなりに自主練もして来たのだとか。
けれど、実際の試験では
時間と過程も審査されるようで、
あまりの緊張で吐気を催す程だったとか。
先輩ほどの人でもそんなに大変だなんて……。
しかも、他の部署の人は
あまりの過酷さにリタイアする人もいたとかで……。
必ずしも、全員合格出来るとは決まっていない。
人の命を預かるだけに、
一瞬の気の緩みも許されない………そんな職場だ。
先輩の苦労が、まるで自分の事のように思えた。
7階のイートインコーナーの自販機で珈琲を買う。
「はい、先輩」
「おっ、サンキュ」
喉が渇いてたら助かったと、先輩は喉を鳴らして飲む。
それを眺め、本当に大変だったのだと感じた。
その後も先輩の話を聞きながら、
エントランスまでのんびり歩いてゆくと……。
「へっ………?」
「ん?………おい、松波?………どうかしたか?」