オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
暫くの間、沈黙が続く。
時間にしてどれくらいだろう。
手の届く距離に彼女がいるという安心感で
俺は久しぶりの高揚感を感じていた。
すると、
「京夜様」
「ん?」
「これは、私の勝手な憶測なのですが……」
「………ん」
「もしかして、私が去った後は、どなたもここに入っていないのでは?」
「ッ?!…………」
核心を衝く彼女の言葉に思わず身体がビクッと反応してしまった。
「やはり、そうなのですね」
僅かに反応した俺を見逃さず、彼女は溜息を漏らした。
ティーカップを握りしめ、彼女は顔を持ち上げる。
そして、
「理由をお尋ねしても宜しいでしょうか?」
俺の心を射抜くような鋭い視線。
今まで、こんな風に俺を直視する事があっただろうか?
俺の視線は無意識に泳ぎ始め、
必死に動揺を隠そうとするが、
すかさず俺の顔を覗き込んで来る。
俺は盛大な溜息を零し、カップをテーブルに置いて
視線を外したままぶっきら棒に手を差し伸ばす。
「ん」
「………?」