オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
しかも、彼女はメール相手を詮索するような女じゃない。
彼女はいつだって控えめで、
俺が嫌がるような事は決してしない。
いつでも空気のように静かに隣りに寄り添っている。
俺は致し方なく、メールを確認する。
「希和」
「…………はい」
俺の呼び掛けにゆっくりと顔を持ち上げた。
けれど、視線が合わない。
彼女の視線はカップの中の珈琲に注がれている。
そんな彼女を少しでも安心させたくて……。
「あのな?」
「………はい」
「今日は午後から天宮と会う約束をしてたんだが……」
「ッ?!」
案の定、彼女は俺の言葉に動揺し、眉根を寄せた。
「先方が、希和も連れて来て欲しいって」
「え?」
漸く俺の方を見た。
その瞳はまだ不安な色を滲ませている。
「希和には協力して貰わないとならないが、隠す必要はないから、話し合いに同席して欲しいそうだよ」
「へ?」
驚く彼女にメールの内容を見せた。
そこには、丁寧な文章で希和への心遣いが記されている。