オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
彼女は静かにカップに口を付けた。
希和の魅力に気づいた彼女は、
自分の劣る部分を再認識して恥じているのかもしれない。
希和も何て答えていいのか分からない様子。
俺はそんな彼女に助け船を出す。
「希和の魅力は俺だけが知っていればいいだけの事だが、知られてしまったのであれば、致し方ない」
「ッ?!////」
俺の言葉に頬を赤く染める希和。
そんな彼女の髪を優しく撫でながら。
「まぁ、知られたのが女だから見逃してやる」
「フフッ、………それは助かるわ」
俺が希和にベタ惚れな姿をワザと見せつける形で応えてやった。
しかも、希和に気を遣わせないように……。
今の俺にはこれくらいの事しかしてやれない。
ごめんな、希和。
視線を希和に向け優しく微笑むと、
ほんの少し安堵したような表情を見せた。
そんな彼女の左耳上に飾られているピンに指先を忍ばせて。
自然と絡み合う視線。
天宮が目の前にいるというのに、
無視するように微笑み合う。
天宮よりも希和の方が俺は大事なんだと牽制する意味でも。
そんな俺の行動を察して、
彼女は大きな鞄から書類らしきものを出して来た。