オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
京夜様に手を握られ、待ち合わせのカフェに到着した。
彼の背中を真っ直ぐ見つめ、何度も自分に呪文を唱える。
『大丈夫、大丈夫』と。
2階の最奥に個室的なブースがあり、
そこに1人の女性がいた。
セミロングの艶やかな髪に透き通るような白い肌。
カラダの線も細くて、抱き締めたら折れてしまいそう。
見るからに上品な雰囲気を纏った、とても……か弱そうな女性が。
彼女が『天宮凪彩』だろう。
私に無いものを全て持ち合わせた彼女は、
私を真っ直ぐ見つめ、微笑した。
その微笑みさえ、貶されたと感じてしまった私は
無意識に彼の手を強く握ってしまった。
彼が私へと視線を送り、その手を握り返してくれた。
まるで『気にするな』とでもいうように。
当たり障りのない挨拶を済ませ、平静を装い席に着く。
すると、テーブルの下でも彼は手を握ってくれた。
そんな些細な事が嬉しくて、心の震えが一瞬消える。
けれど、それも一瞬で……―――…………