オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
天宮製薬が発売するというのは、
サプリメント感覚で使用するヘアケア品。
育毛剤ではなく、あくまでも栄養を補助するもの。
独自に開発したジェル状のアミノ酸美容液。
人体に影響を及ぼさないように最善の配慮を施し、
口にしても人体に影響がないと言う。
話を聞いてるだけでも素晴らしい商品だという事が分かる。
それだけに、心境はとても複雑。
彼女と京夜様が話し始めた事もあり、
私は書類を見るふりをして、心を落ち着かせていた。
すると、
「希和さん」
「ッ?!………はい」
「希和さんが彼を支えたいとお考えのように、私もあの人を支えたいんです」
「………」
「この製品は、あの人が開発した商品でもあります」
「えっ?」
「彼、元々は開発部に所属していました。薬剤師の資格を保持し、色々な研究をしていて……。そんな彼は開発だけでなく、マーケティングにも長けていました。そんな彼の能力と真摯な姿勢を父が高く評価し、見初めた人物でもあるんです」
「………」
「ゆくゆくは、天宮を背負ってしかるべき人材だと思っています。理不尽なお願いだとは、重々承知しています。ですが、どうかお力を貸して頂けないでしょうか?」
彼女の瞳には薄らと涙が滲んでいた。