オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
私は再び京夜様の護衛兼補佐役として、
毎日ほぼ24時間、彼にお供している。
京夜様は『秘書なら秘書らしい恰好をすればいい』と。
だけど、秘書業務だけでなく、
私には護衛の任務も課せられている。
いつ何時何が起こるか分からない状況で
見た目だけ綺麗な秘書スタイルは私には相応しくない。
彼の横に立つのに相応しい格好をと言われれば身も蓋もないが、
私はまだ、彼の婚約者でも妻でも無い。
ただの………『恋人』。
だから、自分の気持ちよりも
今は彼の身の安全が第一だと考えている。
「私にはこういうスタイルの方が似合ってるんです」
「………そうか?」
「はい」
本当は彼の為に綺麗に着飾っていたい。
だけど、それはまだもう少し先でいい。
今はまだ、これで………。
私は黒いパンツスーツ姿で彼の斜め後ろに立つ。
「さぁ、参りましょう」
「ん」
彼の広い背中を眺め、彼の後を追うように歩み始めると。
不意に彼の長い腕がスッと後ろに伸びて来た。