オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
何てこと無いやり取り、いつもと同じ。
真剣な表情で書類に目を通す彼。
そんなごくごく普通の事が堪らなく嬉しい。
自宅にいる彼も、仕事をする彼も、
いつでも私が好きなだけ独り占め出来るのだから。
けれど、それも………あと3日で――――。
自分のデスクの上にある卓上カレンダーに
無意識に視線が吸い寄せられる。
3日後、御影百貨店の本店にて
天宮製薬の新商品の発売記念イベントが開かれる。
当然、京夜様は会場で彼女をバックアップする形で
公の場に出る事になっている。
私が彼の恋人でいられる時間もあと少し。
メディアで大々的に取り上げられてしまえば、
必然的に公のカップルとして注目されるのは必至だ。
そうなれば、四六時中2人の話題が飛び交うだろう。
………どんなに心の目を瞑っていても。
私は空元気を装って、無心で仕事に打ち込んだ。
3日後、魔のXデーがやって来た。
私はいつもと変わらず、黒のパンツスーツを身に纏った。
そして、自室から出て来た彼は―――。