オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
ダークグレーのスーツ姿が、眩しいくらいにカッコよく見える。
「希和、おかしくないか?」
彼はネクタイの結び目に指先を当てながら、
ゆっくり私のもとに歩み寄る。
そんな彼に迷う事無く手を伸ばし、
私は彼のネクタイに指先を忍ばせる。
「いえ、とてもカッコイイです////」
彼の顔を直視したら蕩けてしまいそう。
それくらい男の色香が漂っている。
ネクタイのディンプル(窪み)の形を整え、
彼の胸元にそっと手を添えると――――。
静かにその手に手を重ねた彼。
「希和」
その声はいつにも増して優しい声音だけど、
どこか不安な色が滲んでいるように感じた。
……私だけじゃないんだ、不安なのは。
私はゆっくりと顔を持ち上げ、
「私は大丈夫です」
「………すまない」
彼の長い腕が優しく私の身体を包み込んだ。
大丈夫。
誰が現れようと、私が彼を手放さなければ………。
自宅を後にした私達は一旦会社へと向かった。