オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
京夜様が発売イベントの最終打ち合わせをしている間、
私は翌日のスケジュールの確認をする為、秘書課へ。
秘書課は32階に位置しており、
私以外の秘書がいて『大奥』と呼ばれている。
前まではその部屋に入るや否や『これ、良かったらどうぞ』
なんて黄色い声音で貢ぎ物がオンパレードだったのに。
今は入った瞬間、針の筵状態。
私は意を決して入室した。
「おはようございます」
「あっ、松波さん!」
「えっ?」
いつもなら完全無視の筈なのに
何故か今日は、………取り囲まれた。
もしや、集団リンチ?
脳裏の片隅でそんな事を考えていると。
「あのっ……」
「………はい」
「お兄さんって、お元気ですか?」
「え?」
「私、お兄さんと連絡が取りたいんですけど、連絡先を教えて貰えませんか?」
「あっ、私も!」
「出来れば、私もなんですけど……」
「………」
これはどういう風の吹き回し?
私の兄=私なんだけど、
そんな事、彼女には言えないし。
連絡先を教える事だって出来ない。
だって、自分の番号を教えないとならないし。
……どうしたらいいの?
困惑の表情を浮かべていると、