オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「あっ、じゃあ、私の連絡先を渡して貰えませんか?」
「えっ、ズルーい!松波さん、私のを渡して下さい!」
「ちょっと、松波さんが困ってるじゃない!あの、松波さん。お兄さんって、今彼女いませんよね?」
「え?」
どう答えていいのか困り果てる。
無意識に視線を泳がせていると、
第一営業部の部長秘書をしている里見さんはポッと頬を赤らめ、
電話番号とアドレスが書かれたメモを手渡して来た。
「これをお兄さんに手渡して貰えませんか?」
「私のもお願いします」
「無理にでは無いので……」
何故か、目の前に女性3人の連絡先が書かれた紙が。
この場で断るのも少し変かな?
私が兄に嫉妬してるみたいに思われちゃうし。
彼女達が京夜様から別に目を向けてくれるなら、
受取る事にも意義があるよね?
……私って、嫌な女に成り下がりそうだ。
でも、自分のプライドなんてどうでもいい。
彼に群がる女性を遠ざけられるのであれば、
私はどんな手を使ってでも撃退すると決めている。
だから――――………
「分かりました。ただ、直ぐには渡せないので、ご承知下さいね」
「「「はい!」」」
私は気を良くした彼女達とスケジュールを確認し合い、
専務室へと秘書課を後にした。