オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
専務室に戻ると、既に京夜様が打ち合わせを終え戻っていた。
「希和、どこに行ってたんだ?」
「秘書課に行って参りました」
「明日の確認か?」
「はい」
「そうか」
今日はこの後、御影百貨店の本店へ行き、
会社には戻る予定はない。
だから今のうちにと思い、明日の確認をして来た。
私は椅子の背もたれに掛けておいたトレンチコートを手にすると。
「希和」
「………はい」
自然と絡み合う視線。
恐らく、これが『恋人』として最後の時間だ。
コートを握る手に無意識に力が入る。
すると、スッとしなやかな指先が伸びて来た。
少しひんやりとした指先が頬に伝う。
優しく撫でる指先。
その感触に目頭がカーッと熱くなる。
ダメ。
今涙を零したら、彼を困らせてしまうのに………。
目に、脳裏に、心に、
彼の姿を焼きつけておこうと思うのに
だんだんと視界が歪んで来る。
今にも涙が溢れ出してしまいそうだ。
「っ………き、京夜……様っんッ/////」