オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
震え気味の唇が彼の唇で塞がれた。
神様、お願いです。
どうか、私とこの人との縁を切らないで下さい。
私に出来る事があれば、何でもしますので……。
彼との口づけは涙の味がした。
「希和、これだけは言っておく」
「………はい」
「俺が触れる女は、お前だけだ」
「……っ」
「俺も出来る限りの事はする。イベントの式次第の中に握手する場が設けられていたが、さっき、それを削除させた」
「え?」
「俺に出来る事なんて限られてるだろうけど、これが俺の気持ちだ」
「っ……」
「天宮には指1本触れるつもりは無いから」
「ッ////」
彼の指先がピンへと辿り着く。
愛おしそうな表情を浮かべて触れる指先。
私はその指先に手を重ね、彼を見つめ返す。
「はい」
大丈夫。
私は誰にも負けない。
例え、世間が認めた相手だとしても
私は絶対認めたりしないんだから……。
私達は百貨店の本店へと本社を後にした。