未来を変える殺し屋
それから十分ほどしたころ、トンネルの向こうに千鶴が現れた。


十五メートル程度の短いトンネルなので、その先まで見渡せる。


「来たな」


男が呟く。


「ああ、間違いなく千鶴だ」


「違う。その奥だ」


「奥?」


俺は目を凝らして千鶴の向こう側を見た。


少し後ろに、小太りの男が見えた。


暗くて顔はよく見えない。


白いTシャツに、青いジーパンという出で立ちだ。


「あいつが千鶴を襲うのか」


「何度も言わせるな。見ていればわかる」


男が車を下りた。


俺もそれに続く。


千鶴は後ろにいる男に気付く様子もなく、トンネルに入っていた。


千鶴がちょうどトンネルの真ん中に差し掛かったとき、ストーカーが駆け寄って千鶴の肩を叩いた。
< 14 / 27 >

この作品をシェア

pagetop