未来を変える殺し屋
喫茶店の扉にかかっている鈴が、小気味よい音を鳴らした。


そちらに目を向けると、店の入口に千鶴が立っていた。


「千鶴……」


「あらかじめ呼んでおいた」


と男が無表情で言う。


千鶴が男の隣に立った。


この男に呼ばれたということは、俺が殺されることも知っているのだろうか。


千鶴は暗い表情で俯いている。


「千鶴、俺さ、今日殺されるらしいんだ」


俺は「今日から出張なんだ」と言う夫のように軽い口ぶりで言った。


「うん、知ってる」


と千鶴が頷く。


栗色の髪が揺れた。


ああ、もう会えなくなるのか。
< 21 / 27 >

この作品をシェア

pagetop