未来を変える殺し屋
扉を閉めようとすると、男が足を挟んでそれを止めた。


「おまえの彼女、真壁千鶴に関係しているのだが、聞かなくていいのか?」


「どうして彼女の名前を知ってるんだ」


ノブに置いていた手が緩む。


その隙に男は扉を大きく開けた。


ギィという扉が擦れる音がする。


「上がっても?」


男が汚れた靴で煙草を踏み潰した。


「ゆっくり説明してやろう」


「……わかった」


俺は男を部屋に通した。


1Kの狭い部屋だが家賃が安く、風呂とトイレもついているので、俺は気に入っている。


物があまりないということもあるが、部屋はいつも綺麗にしていた。


部屋の真ん中には食卓テーブルとして使っているちゃぶ台がある。


そこに俺と男は対面に座った。


男は背広の内ポケットから煙草を取り出すと、


「吸っても?」


と言って、俺の返事も待たずにやけに高そうなジッポで火をつけた。
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