片想い電車【完】
私はそろそろ学校の最寄駅に着くので、杏奈さんに話しかける。
「杏奈さん。もう駅に着くので…。」
「あーら。そうなの?ごめんねぇ、杏里ちゃん。うちの蓮斗がどうしても動きたくないって。」
「気にしないでください。」
「せっかく会いたいって言ってくれたのにねぇ。」
「大丈夫です。」
私は笑顔で返す。
軽く会釈して電車から降りようとした時。
隣の車両のドアが勢いよく開いたかと思うと、蓮斗が走って来た。
その姿を見ただけで胸が痛む。