片想い電車【完】
連れて来られたのは校舎裏。
人なんて通らないようなところだ。
大方、人に聞かれたくない話なのだろう。
「茜…?」
着いてから、何も言わない茜に心配な気持ちが募る。
「ねぇ、杏里。何を隠してるの?」
私はびっくりすると同時に、俯く。
私は蓮斗に会ったことを誰にも言っていなかった。
もちろん、茜にも。
「ねぇ、杏里。」
何も言わずに俯き続ける私にもう1度聞いてくる茜。
「言いたくないなら…言わなくても、いい。でも、無理だけはしないで…。」
茜の優しい言葉に私は言葉を失う。
気付いていたんだ、茜は。
私がここ最近空元気だったことを。
無理に笑ってたことを。