片想い電車【完】
「白坂…杏里さん、ですよね…?」
「…はい?」
いきなり後ろから声をかけられ、何も考えず振り返る。
そこには蓮斗が立っていた。
「え…?」
私がびっくりしてそれ以上声が出せないというのに、構わず話す蓮斗。
「生徒手帳、落としてましたよ。」
そう言って右手にあるものを見せてくる。
「す、すみません。ありがとうございます!!」
危なかった。
全然気づいてなかったよ。
大方、あの隣の車両に乗った日に落としたのだろう。