片想い電車【完】
生徒手帳がないと、学校の特別教室に授業中以外入れなくなってしまう。
それに、来週のテストは生徒手帳がないと受けることすら出来ない。
勉強が水の泡になるということだ。
正直、本当に助かったと思った。
この時までは_________。
私が生徒手帳に手を伸ばすと、蓮斗はそれを取られないようなところへ持って行く。
「…?」
私が首を傾げると
「ついては、少しお話があるんですけど、お時間どこがでよろしいですか?」
にっこりとした微笑みで言ってくる蓮斗は周りの女の子から見ればすごくかっこよく見えるのだろう。
でも私は長年の付き合いで、その目が笑ってないことが瞬時にわかってしまった。
お、、、怒ってらっしゃる…。
相変わらず目の前の蓮斗は爽やかな笑みを浮かべている。
周りの女の子からは敵対の目で見られる。
車両中の視線を集めた気がして、すごく居心地が悪かった。