片想い電車【完】


私が目が覚めた時、最初に見たのは白い天井だった。

まだぼーっとしている頭で考える。


ここ…病院…?


見慣れない部屋を見渡し、そう思う。

私の周りにはたくさんの器具が置いてある。


病院…か。

最近寝てなかったし、何も食べなかったし、いきなり走ったっていうのもあるのかな…?

結構泣いたからなぁ。


目を閉じて眠りの淵に落ちる度に浮かぶ蓮斗の笑顔。

サラサラの黒髪。

昔のような整った顔。

変わらず杏と呼ぶが、低くなった声。

少し大人っぽくなった雰囲気。


何もかもが昔のまま。

昔に戻ったかのようだった。

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