片想い電車【完】
ねぇ、蓮斗。
あの日、あの場所で笑ったあなたは
誰よりもかっこよかった。
あの目の前に広がる景色。
あの時の蓮斗の笑顔。
何もかもが私の記憶に鮮明に残ってるよ。
『落ち込んだ時、ここに来るんだ。』
そう言って寂しげに笑った蓮斗。
思えば、あの日は蓮斗が転校する前日だったね。
私は何もわかっていなかった。
蓮斗の苦しみも。
蓮斗の思いも。
全部わかっていなかったくせに、ずっと蓮斗のせいにして逃げてた。
あの場所に絶対にいる。
そう確信している私はより一層走る速度をあげてあの場所に向かった。