サクセサーズ
すると、どこからともなく声が聞こえてきた。それは、男性の声ではなくあの時の澄んだ美しい女性の声だった。



「リリィ。あなたにこの魔法を授けます…心の中に浮かんだ言葉。闇に心を囚われてしまった者に唱えなさい。そうすれば、闇を振り払うことができる…」



「あ、あの…あなたは一体誰?」



リリィが声に問いかけると、声の主は静かに答えた。



「わ…たくしは……光の継承者……もう……魔力は残されて…いま…ん…。あ…の人………ベー……を止め……」




消えるように声は聞こえなくなってしまい、最後の方はよく聞き取ることができなかった。あの人とは、闇の継承者のことだろうか。謎は深まるばかりである。




リリィは心に刻まれたその言葉を頭の中で思い浮かべた。ライト・パージ。闇を振り払う、聖なる光の魔法。




これで、こんなわたしでも誰かの役に立つことが出来る。リリィは少しだけ前向きな気持ちになった。ありがとう。光の継承者さま…感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。



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