サクセサーズ
辺りがすっかり暗くなった時リリィは一人で宿屋を抜け出して、魔法の練習をし始めた。光の魔法ジャッジメント・アローはもちろん、地の紋章の力を試すためにだ。



暗い夜道を抜け、昼に練習していた空き地に出る。もちろん空き地には誰もいないもぬけの殻である。




気を集中させて、魔法の詠唱をする。



「星と大地の精霊よ!我の元へ集え!シューティング・スター!」




魔法を唱えると、リリィの頭上から次々と星が激しく降ってくる。それは広範囲に渡って降り、クリナップと同じく地面に刺さるとスッと消えていった。



「や、やった…!」



成功の喜びに満ち溢れてその場でジャンプする。喜びで周りにまったく気が回っていなかった。



ジストの治安は悪い。夜は盗賊や革命軍の密偵が闇の中に潜んでいる。リリィは自らの背後に潜む存在に気がつかなかった。


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